大正時代の立派な門の三和土を修復しました
【施工前】 大正時代に作られた三和土は痛みが激しく、所々に凹みや穴があり、歩くことが困難な状態
水はけも悪く、雨水が溜まりやすい
門の土台部分が砂で埋まり、通気性が悪いため、このままでは木が腐ってしまう
【施工後】 平らに仕上げ、水が流れるよう水勾配をとった
門の土台部分は砂を掻き出し、玉石を敷いて通気性をよくした
※三和土(たたき)とは、「敲き土(たたきつち)」の略で、赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜて練り、塗って敲き固めた素材。3種類の材料を混ぜ合わせることから「三和土」と書く。土間の床に使われる。 「敲き土」とは花崗岩、安山岩などが風化して出来た土を言う。石灰と水を加えて練ると硬化する性質があるため、そこにこれらの土を混ぜ込んで固めるのである。長崎の天川土、愛知県三河の三州土、京都深草の深草土などの叩き土に石灰や水を加えて練ったものを塗り叩き固め、一日二日おいた後に表面を水で洗い出して仕上げとする。 もともとはセメントがなかった時代に、地面を固めるために使われたとされる。日本では明治期において、既存の三和土を改良した人造石工法(考案者の名を取り「長七たたき」とも呼ばれる)が、湾港建築や用水路開削などの大規模工事にも用いられた。(wikipediaより引用)
瀬戸の山砂12/消石灰1.5/ドロマイトプラスター1.5/
6%塩化マグネシウム水溶液1/黄土1/5mm角砂利/砕石/ピンコロ
※数字は容量比
地鏝(厚みと重さが三和土に適している)
①現在の三和土を剥がす
施工前
今回のもうひとつの課題は、この美しいお庭を壊さないように細心の注意を払うこと。施主様が大切に育ててきた苔を傷つけないよう、養生に毛布やベニヤなど使用
剥がしたところ。ここに7~8cm厚の三和土をつくる
門の下の部分。石の基礎の上に木の土台が載せてあるが、木と地面がくっついていると、木が湿って虫がつき、腐るため、隙間を開けておかなければいけない
長年、人が行き来することで砂が舞い、下に溜まっていたため、土を掻き出し、隙間をつくった
②砕石を敷き、転圧をかける
③周囲にピンコロを並べる
※ポイント
外側が直線になるように並べる。
石のサイズはまちまちなので、内側はばらつきがある
④材料をミキサーにかける
※ポイント
材料が固すぎると割れやすくなり、水分が多すぎても膿んで(凹んで)割れる
下打ちの材料は砂利入り、2回目の材料は砂利なし
6%塩化マグネシウム水溶液(にがり)
材料を握ると、くっついてまとまるくらいの固さにする
⑤砕石に水をまき、下打ちの材料を敷いて叩く
材料を80mm敷いて、40mmになるまで叩く
機械が入らない端の部分も地鏝でしっかり叩く
※ポイント
下打ちで圧をかけすぎると肌離れを起こすので、つるつるにしない程度に叩く
道具の裏に土がついたまま叩くと穴が空くのでこまめに剥がす
⑥糸で平行を確認しながら進める
※ポイント
周辺から仕上げ、そのあと中心を仕上げる
⑦2回目も同様に材料を敷き、叩いていく
材料を80mm敷いて、40mmになるまで叩き、全体厚を80mmにする。
※ポイント
砂利を入れていない材料を使う
下打ちのときよりもしっかり、平らに叩いていく。空気を抜くように
⑧定木で高低差を確認し、平行にしていく
⑨水を打ちながら、コテで押さえる
⑩土台の下に通気を設けるため玉石を敷く
⑪完成
<施工>
漆喰九一
<工務店>
湯浅建設
名古屋市中区 大須1丁目4-21
TEL 052-231-1659
<設計>
m5_architecte 六浦 基晴
https://www.m5archi.com/
https://www.m5archi.com/about-2/blog/